ある寒い日

ある寒い日に、私は彼に呼び出された。
人気のない公園のベンチに一人腰かけて彼の来るのを待っている。
「お待たせ!」
声のする方を振り向くと、爽やかな笑顔の彼が立っていた。
「どうしたの?」
「急に呼び出して、悪いな」
「ううん。そんなことは無いけど。」
「実は、話があるんだ・・・」
彼は、いつになく真面目な表情で私を見つめる。
あまりにも、おかしいので、思わず笑ってしまった!
「ハハハ!」
「なんだよ!せっかく、人が話そうとしてるのに・・・」
彼が、子供みたいに拗ねる。
「ごめん、ごめん!真面目な顔をこんな近くで見たことが無かったもんで・・・」
彼は、意外そうな顔をした。
「え!?そうだっけ?」
「うん!」
「そっか・・・」
「で?話は何?」
「真剣に聞いてくれ」
「いいよ!」
「俺と、付き合って欲しい」
一瞬、呼吸が止まった。
(何・・・私・・・何を言われたの?)
「ダメかな?」
心配そうに、見つめてくる。
ダメもなにも・・・・
「それ、本気で言っているの?」
「本気じゃなきゃ、こんなことは言えないよ」
考えてみれば、その通りだと思う!
「私で良ければ・・・」
「ほんと?」
「うん!」
「俺、絶対お前を幸せにするから」
「分かった。」
彼は、私を強く抱きしめる。
枯れ葉が、舗道をカサカサ音を立てて
通り過ぎていった。