思い出の日記~思い出したくないこと~

 「かおり!何度言ったら分かるんだよ。テストで50点以上を取れって。一科目じゃなくて全科目50点以上を取れ!いい高校入って、いい大学に入って、素晴らしい企業に勤めることがお前のやることなんだ!いいか、次はないぞ!今日は、外で寝ろ!」

「お父さん。ごめんなさい。次こそ頑張るから。お願い、一人にしないで。寒いよ。お母さんもなんか言って!」

「かおり・・・・お父さんはあなたのためを思って言ってるの。分かってね」

「お母さん、家に入れて・・・・」

「おやすみ。かおり」

ガチャ・・・・・

「そ・・んな・・・・」

ドンドンドン!

「お母さん、開けて!お腹すいたよ!お母さん・・・・・」

 

「り・・・おり・・・かおり!」

目を開けると夢人がいた。

「あ!おはよう・・・・」

「どうしたんだ。ずいぶんうなされてたけど」

「ううん、大丈夫。ごめんね」

「今日、俺遅くなるから・・・・」

「女?」

「違います!でも、俺ってかっこいいから話しかけられちゃうかも!?」

「離婚しましょう!今日、用紙持ってくるから!」

「冗談です!ごめんなさい」

「わかったわよ。早く行かないと遅刻するよ!」

「行ってきます」

「行ってら!」

ガチャン・・・・・

また思い出してしまった。

私は、昔から父に厳しい教育をされてきた。

テストは、常に50点以上を取らなければいけないし、遊ぶ時間もくれなかった。

父は、医者をやっていて、母は、大企業の社長。
そんな家に生まれたのが私だった。
父の口癖は、「トップを目指せ!」だった。
母は、「社長の娘として恥ずかしくないようにしないさいね」だった。

いつも、決められたことだけをやっていた。

嫌だったけど、逃げたりしたら外に出されるし、ご飯もないし・・・

ひどい時は、殴られそうになった。

高校に入ってから、家出をした。

早く、自由になりたかった。

そんな時に、出会ったのが夢人と洋翔先生だった。

洋翔先生は、真面目だけど面白い時もあって。笑顔が爽やかで・・・・

声を聞くと、癒されるのよね💛

顔も、すっごいかっこいいのよ!

夢人は、笑顔が可愛くて、なんて言えばいいか分からないけど、一緒にいるだけで

幸せになるんだよね💛

すっごい、迷ったの!

結婚相手って一人しかダメでしょう?

結婚の決め手は、夢人に手をつないでもらったら、すごい温かくて、それでね

こんなこと言っちゃうと、夢人に怒られるかもだけど・・・・その・・・・

キスがすごいうまかったの!キャー、どうしよう!言っちゃった!
とろけるような感じで・・・・・・
ダメだ!ドキドキが止まらない!

洋翔のキスは、なんというかうまいんだけど、どこか遠慮してる感じで・・・・

なんか・・・うーん・・・・

もちろん、洋翔のキスも嬉しかったけど・・・・

夢人は、その上をいってるね。

俺がリードしてやる!的な感じで。
優しいけど、情熱的なのよね!

それでね、キスした後も頭ポンポンしてくれるし、寝るときは腕枕してくれるし・・・・

でも、この間久しぶりに洋翔に会ったら、なんかドキドキしちゃって・・・・

これは、やばい恋に走りそうな予感だったけど

あの後、一回も会ってないから、そんなことは・・・・・

ピンポーン!

「はーい」

「かおり!」

「洋翔?どうしたの?」

「俺と結婚しなかったのは、キスがうまくなかったから?」

「急に何?」

「いいから」

「洋翔のキスは、良かったんだけどなんかが足りなくて・・・・・」

「やっぱり・・・・今まで付き合った子も皆言ってた」

「マジ?ごめん・・・傷ついたよね?」

「ううん。しょうがないよ」

「で、話はそれだけ?」

「いや・・・・キスがうまくなったら、付き合ってくれる?」

「いや。私には夢人がいるもん。それにキスの練習は、誰とするの?」

「かおり。」

「冗談はよしこちゃん!」
「ダメかな?」

私の目をじっと見つめる洋翔。

洋翔の服の間から見える、きれいな鎖骨に目がいってしまう・・・

(きれいだな・・・・)

「聞いてんの?」

「ダメったらダメ!」

「今、俺の体見てた?」

「う、ううん。全然!」

「嘘だ!洋服の間から見てたでしょ?」

「とにかく、ダメ!」

「一回だけ、キスしていい?」

「今!?」

「おう!」

「一回だけよ・・・」

「分かってるよ・・・」

久しぶりの洋翔のキス。

あの時とは違って、うまくなっていた。

すごい、素敵なキスだった。

「はい。おしまい!またね」

「えっ?」

「何?もっとキスしてほしいの?」

「ううん。別に・・・・(ほんとは、もっとしてほしいけど・・・・)」

「そう・・・・じゃ、またお迎えに来ますね。シンデレラ♬」

「えっ?夢人のいる時間はダメよ!」

「じゃ、それ以外の時間ならいいの?」

「ちょっとお茶するぐらいなら・・・・」

「分かった。じゃあね!」

「うん」

ガチャ。

危ない恋に走りそうです。